スキルクラスと平行して、専門科目についても1年次から導入を開始し、2年次では3つのコース――British Studies, American Studies, Language Studies――それぞれの基礎的な知識を学ぶ概論クラスを全員が受講します。その過程で、3、4年次でどのコースに所属するべきかをじっくりと考えてもらいます。各人が選択したコースで、個々人の興味にしたがって決定したテーマは、4年次での卒業プロジェクトとして論文作成という形で文章化し、口頭試問では論文のサマリーを英語で発表します。
History of English Literature and Culture (イギリスの文学と文化の歴史)
英文学を学ぶとは、イギリスの文化を学ぶとは、どういうことなのでしょう。「英文学」と「英語で書かれた文学」は同じでしょうか? イギリスといったとき、地図のどの部分を思い浮かべますか? 英文学科を選択するひとの多くは、受験前にこんなことを考えたりはしないでしょう。そもそも英文学科の受験者の大半は、英語を学ぶための場として、この学科を選択するのではないでしょうか。その考え方はあながち間違ってはいません。なぜなら文学の言語とは、正確を期することも曖昧さを醸し出すこともできる自在さを備え、さまざまな比喩やレトリックを駆使する創造性に富み、多様性を受け入れるという点できわめてラディカルな、つまりあらゆる種類の言葉のなかで、もっとも高度な言語だからです。このような高度な言語は、一千年も前から詩、演劇、そして時代をくだって小説という、形式も言葉の使用法も異なるジャンルを生み出してきました。それぞれのジャンルの作品を読み解くことは、イギリスの歴史を知ることであり、文化に触れることであり、また同時に、文学の言語という高度な「英語」を徹底的に学ぶことでもあるのです。
History of American Literature and Culture (アメリカの文学と文化の歴史)
アメリカ合衆国は18世紀の後半に独立してからまだ240年弱しか経っていない若い国です。しかし、それ以前の北米大陸は空白の地であったわけではありません。ネイティブ・アメリカンの長い歴史があり、スペイン、フランス、イギリスななどヨーロッパ諸国の植民地がありました。それから現在に至るまで、それぞれの時代がそれぞれの文学や文化を生み出してきました。その具体例をとりあげながらアメリカの歴史を辿るのがこのクラスです。現代世界で大きな影響力をもつようになった合衆国に文学・思想・文化といった面からアプローチすると、経済や政治の研究だけでは得られない深いアメリカ理解につながるはずです。
History of the English Language(英語の歴史)
英語が1500年前にヨーロッパの一言語として誕生し、今日のような世界語になるまでの歩みを歴史的に辿ります。この講義により、英語は他のヨーロッパ語(ドイツ語、フランス語、ラテン語、ギリシャ語など)とどのような関係にあるのか、英語の語彙、文法、発音、綴字はなぜ現在のようなものになったのか、世界の様々な英語(イギリス英語、アメリカ英語、オーストラリア英語、インド英語など)はどのように違うのか、将来の英語はどのように変わっていくのか、などを知ることができます。英語を教える上でも学ぶ上でも使う上でも、面白くて役立つ知識が満載です。
Structure of the English Language(英語の構造)
英語の構造を言語学的に学びます。具体的には、発音の方法(音声学・音韻論)、文法の仕組み(伝統文法・機能文法・語用論)、書き言葉と話し言葉の構成(談話分析)です。この分野を体系的に習得することで、スキル授業の英語、専門科目の英語、社会一般の英語を専門的に見る眼が養われ、英語をよりよく学び、使い、教えられるようになります。