学 歴
同志社大学文学部英文学科(学士号)
ホイートン大学大学院神学部教会史専攻(修士号)
マサチューセッツ州立大学アマースト校大学院英文学専攻(修士号)
ボストン大学大学院アメリカ・ニューイングランド研究課程(博士号)
B. A. in English, Doshisha University
M. A. in Theology, Wheaton College, Wheaton, Illinois
M. A. in English, Graduate School, University of Massachusetts/ Amherst
Ph.D. in American Studies, Graduate School, Boston University
専門分野
アメリカ植民地時代のピューリタニズムを中心に、南北戦争期(19世紀半ば頃)までの文学、宗教、思想の研究を専門とします。博士論文では、19世紀アメリカ文学を代表するナサニエル・ホーソーンによる三作品『緋文字』、『七破風の屋敷』、『ブライズデイル・ロマンス』を宗教的側面から分析しました。ホーソーンの祖先はニューイングランドに入植したピューリタンで、特にセーレムで起きた魔女狩りで裁判官をつとめたことで知られています。こうした過去はホーソーン作品に大きく影響を与えたのですが、ホーソーンとピューリタンの時代には200年にわたる長い歴史的な時間が横たわっています。ところが、あまりにもホーソーンの描写がすぐれているために、多くの読者は、ピューリタン・ニューイングランドとホーソーンの生きた19世紀の社会を混同し、史実と作者の文学的創造の世界とを取り違えてしまいます。そこで私の研究は、時代や思想の変化をひもときながら、文学テクストと歴史的コンテクストの間に横たわるさまざまな事象を再構成していく作業となります。このためには、17世紀から19世紀の社会の変遷とともに、思想や宗教の特徴を探求することが必要となります。研究資料を求めて、休暇中は頻繁にアメリカやヨーロッパの図書館、アーカイヴや史跡に調査旅行にでかけます。
担当科目について
担当科目:アメリカ文学演習、アメリカ文学講義、米文学史、Intensive Readingなど
「アメリカ文学演習」のクラスでは、例年ホーソーン作品と他の19世紀作家作品をそれぞれ一冊ずつ取り上げて、作品を読みながら、背景にある歴史や思想について学びます。学生は、中心となる文学テクストを精読するとともに、歴史資料や批評論文を原語で読み、プレゼンテーションを行います。翻訳が殆どない資料や批評の紹介を担当するため苦労するようですが、ディスカッションしながらみんなで読みを確認し、理解を深めていくことには達成感が伴うようです。「講義」では、19世紀小説やエッセイを紹介しながら、その背景となる歴史や思想との関係についてほりさげます。主要作家作品の他、なかなか読む機会のない奴隷体験記やセンチメンタル小説なども取り上げて、人種やジェンダー、階級等、アメリカ社会の諸問題について考察します。「米文学史」は、アメリカ文学を歴史的に紹介し、関心を持ってもらうための入門クラスです。情報量が多いので、簡潔に説明するのが大変なのですが、後々の勉強に役立つので、2年生で受講することを進めます。
一つの文学テクストは作品の中だけではなく、それを取り巻く歴史、文学、思想というより広範なコンテクストとの関連の中で成立するというのが、私のとらえかたです。そうしたテクストとコンテクストが織りなす世界に、「今、ここ」に生きる読者である私たちがどのように関わっていくのかを問うのが授業でめざすところとなります。この他に、ICUの哲学・宗教学メジャーで、アメリカ宗教史の講義を担当しています。
主要業績
『植民地時代アメリカの宗教思想——ピューリタニズムと大西洋世界』(上智大学出版、2006年)
『キリスト教のアメリカ的展開——継承と変容』(共著、上智大学出版、2011年)
『史料で読むアメリカ文化史1、植民地時代:15世紀末—1770年代』(共著、東京大学出版会、2005年)
『環大西洋奴隷貿易歴史地図』(翻訳、東洋書林、2012年)
『近代アメリカの公共圏と市民―デモクラシーの政治文化史』(共著、東京大学出版会、2017年)
『アメリカ文化事典』(アメリカ学会共編・分担執筆、丸善出版、2018年)
『北米研究入門2:「ナショナル」と向き合う』(共著、SUP上智大学新書2019年)
『キリスト教文化事典』(分担執筆、丸善出版、2022年)
『はじめて学ぶアメリカの歴史と文化』(共著、ミネルヴァ、2022年12月刊行)